みなさんは、「依存」という言葉に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。
この障害の患者は、「自分で自分の面倒をみることができない」と考えています。それは、恋愛でよくみられる感情的な側面だけではなく、日常生活にも支障が出る場合があるのです。
当事者の思考としてどうなっているのかといいますと、「服従することで他者に自分の面倒をみてもらおうとする」…つまり「自立や自己責任を負うことに恐れを抱いている」ことになります。
パーソナリティ障害について
「人格障害」とも呼ばれており、思考・知覚・反応・対人のパターンが本人に大きな苦痛をもたらして、日常生活がうまくいかない等の状況が長期的にみられる人に対して用いられます。
このような人格障害に「依存性」の症状が合わさると、自立性やまわりへの関心を手放して、過度に依存的・服従的になるといわれています。
依存性パーソナリティ障害になる原因
現在、依存性パーソナリティ障害の原因については、医学的にあまりよくわかっていません。
可能性としましては
- 文化的因子
- 幼児期の否定的な体験
- 不安になりやすい先天的傾向(神経症的傾向)
- 家族内で受け継がれる特性(服従性、自信の無さ、控えめな行動など)
以上の4つがあげられます。
幼いころの育った環境や、保護者・まわりの大人からかけられた言葉や距離感などがおおきく関わっているといえるでしょう。
依存性パーソナリティ障害の特徴
さいごに、症状の特徴について三つお話していきます。
①依存する相手
依存性パーソナリティ障害の患者は、日常生活における判断をするときに他者からの助言と安心感を必要としていて、自分以外の誰かに自分の生活について責任を負ってもらおうとします。
たとえば交際相手や配偶者に依存して、自分がどのような服を着て、どのような仕事をして、どのような人と付き合うべきかを教えてもらいます。
また、社会的な交流の幅が極端に狭いともいわれています。
依存する相手はごく少人数で、その親密な関係が終わるとすぐに代わりになる人を見境なく探します。
理由もなく、依存している相手に見捨てられることを恐れているのが特徴です。
②服従性
「認められること」と「面倒をみてもらうこと」。なによりも承認を失うことを恐れるため、他者との意見の違いがあっても口に出すことができません。頭では、よくないことだと分かっていても、同意してしまうことがあります。
ひとりでいることに居心地の悪さを感じるため、簡単に他者の言いなりになったり
身体的・性的・情緒的虐待に耐えたりすることもあるようです。
③自信と自立心
自分はひとりでは何もできないと確信しているため、自分の能力を卑下する傾向があります。常にまわりの手助けと安心を求め、「能力のない存在」として振る舞い、自立して生活する技能を自ら学ばないことが多いのです。
これらの症状が悪化した結果、責任を負う必要があること(新しいことを始める・独立して働く等)が困難になると考えています。
ご自身においてもお相手においても、困難や違和感を感じるようでしたら
一度立ち止まってみてはいかがでしょうか。